災いの刻印

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「瑠里にならそのまま殺されます」 他人だと抵抗するかもしれないが、小さい頃から同じ苦労をしてる瑠里にはジタバタしない気がする。 生活を変えたくてイザリ屋に入ったのも、すべて家族で美味しい物を食べたり、笑ったり楽しく暮らしたいからだ。 瑠里がそのメンバーの中に居ないなら、生きていても仕方がない。 アッサリと答えると田村さんは表情を変えたが、社長は満足そうに微笑んで、いつものキツネの顔に戻った。 「姉妹で同じですな。男前というか絆が強いというかお二人がその答えな限りイザリ屋にはいて貰わないと困りますが、だた本当に命をすぐ捨てるような事は止めて下さいね」 「当然です!母からは家族旅行に行きたいと催促されてますし、妹には脱毛サロンに行ってみないと誘われてますんで。今死んだらあの世まで文句言いに来られますから」 「プッ、いいですな~この家族実に面白いわ、じゃあ仕事頑張ってね~ん」 言いたい事だけ言うと社長はサッサと部屋を出て行き、私達も顔を見合わせてその場を離れる事にした。 「百合さん、そんな事になるようなら事前に相談して下さいね」 「はい、瑠里にもそう伝えておきます」 「では今日はごゆっくり、明日は青刺繍のヘルプ頑張りましょう」 急にカマキリが出て来て、鎌で頭を突かれたような気分だったが、まだ先とタカを括っていたのに明日だとは不覚だった。 瑠里も恐らく勘違いしてるので小走りに職場を出て、警備室の前を通り過ぎると猛ダッシュして自宅に戻った。 乱暴にドアを開けリビングからテレビの部屋を覗くと、ソファに座りわらび餅を皆で頬張っている。 イナリはお皿に乗せられた牛乳プリンをペロペロと舐めていた。 「百合おかえり、すっかり調子が良くなって食欲も出て来たよ!」 「いや少し食欲は減ってもらいたい位だよ、瑠里……明日は夜勤だよ」 暗い表情を見て悟ったのか『ゲッ』という顔をしていたが、明日がヘルプの日だと分かっていたらもっと早めに切り上げていたかもしれない。 置いて帰った瑠里にクレームを言いたいところだが、母が目の前にいるので黙って風呂に入る事にした。
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