バーベキュー大会

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敷地内は広いし人数も多いがザッと見渡しても姿はなく、冷たいかき氷が食べたくなり妹にイナリを預けると、来た道を一人で戻っていた。 途中のテントでお肉を食べながら楽しそうに話してる二人のドラム缶……いや母と木村さんの姿も見え、安心してそのまま歩く。 お目当ての練乳小豆を手に入れ、妹の分にブルーハワイを注文して戻っていると、若い男女のカップルや女子のグループで賑わっていた。 一人で歩く姿は寂しそうに映ってしまうが、友達なんていないし作ろうとも思わなかったが、やはりこういうイベントは向いてないと感じ視線を落として進む。 「こんにちは……」 又男性に声を掛けられ顔を上げると、六人の団体だったので何となく苦手オーラを出していた。 「あっちで座ってお話しませんか?」 「あ、あの妹を待たせてるんで……」 この人達も浴衣を着ていて粋な雰囲気だが、一人でも人見知りな私は持て余すのに、この人数だとどうしていいのか分からない。 悪い感じの人達ではないと分かるが、隣に並ばれて少し困っていると顔色が変わり、みんな逃げるように何処かに行ってしまう。 般若の顔出してない筈なのにみんな逃げていくと、無事に戻りかき氷を一緒に食べながら妹に話をしていた。 「私も、てっきり姉さんが睨んでるのかと思った」 「いやいや、そんな常に般若な訳ないじゃん、田村さんは?」 気付けばお肉を焼いてる人が別のおじさんに変わっていて、途中で誰かに呼ばれたらしく、妹はお腹一杯になったので一旦休憩モードらしい。 私も田村さんと話がしたかったと名残惜しかったが、テントの後ろ側の地べたに座る浴衣姿の男性達に目が止まる。 「あれリーダーと啄だよね?何してんだろ」 「放っておいた方がいいよ、女子にフラれてイジケてるんじゃない?」 確かに暗い影を背負っているようにも見えるし、こういう時の妹の言葉は大抵当たってるので見て見ぬフリをした。 「そろそろ帰る?」 「お肉美味しいから少し休んで、再度食べて帰りたい、姉さんこそもっと食べたら?焼きそばの屋台とかもあったよ?」 「じゃあ、ちょっと見て来ようかな……」 立ち上がる時にさり気なく二人の様子を見たが、明らかに肩を落としているので、可哀想になり妹に目配せをした。 仕方ないと妹は近くのラムネを二本掴み、リーダー達の所へ行き後に続いた。
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