バーベキュー大会

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焼きそばで満足しイナリを膝に乗せ人間ウォッチングをしていたが、妹が肩を突くので視線をやると、リーダーが浴衣姿の女の子と話をしていた。 「瑠里先生マジで凄いね、強面が女子と話してる!」 「まぁねリーダーは何とかなるよ、あとは啄がおこぼれを逃がさないようにしないとだけど、私らはドラム缶を探して帰ろうか」 「瑠里カッコいい……」 先生を尊敬の眼差しで見つめて立ち上がると、正面から沢山の袋を提げた母がこちらに向かっている。 「百合~、瑠里~、荷物持つの手伝って」 駆け寄ると袋を渡してベンチに座り、扇子で顔を仰ぎ始めていたが、木村さんにお土産を沢山貰って嬉しそうな表情だ。 「暑いからジュース一本飲んで帰ってもいい?」 「ハイハイ、老体は熱中症が怖いからね」 この体型だと汗が噴き出てくるのも分かるし、普段クーラーが効いた部屋でゴロゴロしている母にとって、久々の昼間の外出は堪えるかもしれない。 扇子を預かり仰ぐのを手伝っていると、ジュースを一気に飲み干し次の飲み物をあさろうとしている。 「ちょっと飲み過ぎだよ、水分摂ってなかったの?」 瑠里がいつものように注意し始めると、母も負けじと反抗する。 「きちんと摂りました~、色んな物食べて飲んでお酒も頂いたから喉渇いてるの!」 それにしても滝のように汗が出ていて、浴衣の袖からもツツーッと垂れ始めている。 何となく異変を感じた妹がおでこを触り、手首を掴むと血の気が引いたような顔をし、私の方に見せた途端扇子を地面に落としてしまう。 『ーーなんでっ!』 母の手首の辺りやよく見ると首筋にもタトゥのように刻印が浮かんでいて、私達が面接に来た日と同じような状況になっている。 当人は全く気付く気配もなく依然飲み物を口にしているので、とりあえず家に帰ろうと瑠里と顔を見合わせた。 刻印が見つかる前に一旦家に連れ帰り、あとは田村さんを呼んで相談しようと母を二人で挟み、両腕を支えながら歩き始めた。
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