災いの刻印

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ネットサーフィンをしていると部屋のドアをノックされ、妹が気まずそうにベッドに座り、話聞きますというようににスナック菓子を開けていた。 小声でザックリと説明をし妹も耳を傾けていたが、一通り聞いた後、まず質問されたのは全く関係のない事だった。 「ところで、ワオンとのご飯はどうなったの?」 「あっ、みんな部屋を出てそれきりになった」 「もうしっかりしてよ?照ちゃんは何気にグルメそうだし、美味しい物食べれたかもしれないのに勿体ない!」 妹の頭の中は母の刻印についてより、ディナーのお誘いにロックされていたみたいだ。 これから私達にも違う刻印が出たり、もしかすると大変な事になるかもという発想は二の次のようだ。 「私らは難しい事考えず、今まで通りで行こう」 「……うん」 妹は食べかけの袋を折りたたむと、肩をポンと叩いてベテランの刑事のような素振りで部屋を出て行った。 能天気というか肝が座ってるというか……でもおかげで緊張の糸が解れたのか、その夜は頭を空にしてゆっくりと眠る事が出来た。 お昼過ぎまで眠り、カーテンの隙間から零れる日差しで目が覚める。 夜勤の日は母も起こしに来ないし、仕事の時間に支障がなければ、寝ていても怒られる事はないがリビングに入ると、ようやく起きたかという表情だ。 「散歩に行って起きご飯と朝ご飯も済ませたっていうのに、百合は今お目覚めだよ。だらしないね~イナリ」 「起きご飯……ってなに?私らは夜勤だから仕方ないでしょ」 「まずは起きて服を着替えたらご飯を食べて、散歩が終わってから朝食!」 「そりゃ太るわ、ちょっとは自粛してよ!倒れても二人で運べなくて困ったんだから!」 余計な事を言った母は、食べていた土産の水ようかんの空の容器をこっそりゴミ箱に捨てていた。 アイスコーヒーを飲み終えシャワーを済ませた頃、妹もリビングでテレビを見ていて、いつもと変わらない光景だ。 半袖のカットソーを着ている母の腕をチラリと見たが、刻印の後影はない。 妹がシャワーを浴びている間にお土産の品を摘まんだり、時代劇を見たりであっという間に時間は過ぎて行く。 気付けば夕ご飯に、おにぎりときゅうりの醤油づけが置かれている。 ビクビクしながら一口摘まんでみたが、思ったより美味しい出来上がりに妹と顔を見合わせた。
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