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「俺は別に誰がモテるとか気にしてねー、ただあいつが洋を誘って優位な立場なのが腹立つ」
「八雲ってそういうの抜け目ないからな、赤刺繍はイケメン揃いなのに、ウチから洋持って行かれたら完全にアウトだ」
よく分からないが男性達は完全にイベントで争っているようだが、そんな事より青刺繍のヘルプと言いかけると、負け組の二人に睨まれた。
「あのさ、こっちは遊びじゃなく仕事の相談なんだよ」
苛立ちのこもった声で口を開くとボンレスは早々に立ち去り、洋も後は宜しくねと部屋を出て行った。
「般若のせいで皆逃げたじゃん、リーダー、私達カマキリに苦戦してるんです」
少し引きつり気味だったが、それでも真面目なリーダーはそんなに気負わなくてもヘルプだし、田村さんもいるとアドバイスをくれている。
「えっ、田村さんも来てくれるんですか?」
入社当時からお世話になっていて、勝手に父親代わりに頼っている強面の持ち主だが、相談に乗って貰ったりする信頼してる人だ。
社長を筆頭とする立花の親族達は何名か知っているが、ロクな人と会った試しがない。
社長は『キツネ面の死神』と妹が言う通り、目を細めると穏やかな表情だが考えは全く読めず、バッサリと切り捨てる冷たさも持ち合わせている。
罠にハメたりお茶目な部分があったり、私達に目をかけてくれるが、いい人だというより殴ってやりたいと思う事ばかり。
八雲さんは赤刺繍でイケメンの持ち主だが、同じく考えてる事は分からない変わった人。
金刺繍の滋さんもイケメンなのは変わりないが、冷酷でたまに不気味な笑顔を見せるので、近寄りたくない雰囲気の持ち主だ。
唯一無色で同じチーム内の啄は親族のクセにポッチャリ体型の救護班で、毒薬含む薬のエキスパートだが、社長の孫とはとても思えない。
そんな理由で親族より、田村さんや受付の木村さんの方が信頼できる人物と勝手に思っている。
妹は前回の犬の世界の出来事から、社長にも一目置いているようだが、私は単純なので優しく話を聞いてくれる人がいい人ランキングは上位だ。
そんな事を考えながら早くベッドに入り、カマキリ戦のシュミレーションを浮かべていたが、いつの間にか眠り朝を迎えていた。
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