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『愛しているよ』と
消えそうな声で
君の言葉は
私を見えないモノで
確かに包み込む
『私も愛しているよ』と
振り絞って出した
私の言葉は
君にも見えないモノで
不確かにも包み込む
花火は今日も綺麗
真っ暗闇の空を
明るく
照らし出したね
私と君は
それを見て微笑む
綺麗ね
『綺麗だね』
とめどなく流れ落ちる
頬を伝う暖かく
そして悲しい涙は
君では
ぬぐい取れないの
『愛しているよ』と
花火がかき消す声で
君の言葉は
私を見えないモノで
縛り付けて
『私も愛しているよ』と
真っ暗闇の中で
私の言葉は
見えない君へ
不確かにも響き渡る
花火は儚く
咲いたと思ったら
散ってしまうのよね
ねぇ
もう花火、上がらないのかしら
そう問う私に
いつの間にか
君の言葉が
壁の向こうから聞こえた
『愛している』
『愛しているよ』
『ずっと愛している』
違うよ、違う
なんで壁の向こうに
君は居るの
真っ暗闇なココでは
正しい鍵が見つからないよ
叩いても
大きな声出しても
君の言葉は変わらない
『愛している』
『愛しているよ』
『ずっと愛している』
違うんだってば
私はココに居るの
鍵が分からない
見つからない
君は
壁の向こう側で
私の言葉をちゃんと
聞いていますか
不確かなモノなんか
いらない
見えないだなんて
悲しい
花火はとっくに終わったよ
まだ鍵は
見つからないのよ
花火みたいに
儚く
消えてしまったのかしら
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