第20章

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カイトは箸をおいた。 栞も合わせたように箸をおいた。 「泣かないで」 カイトは困ったような顔で言った。 栞の頬に涙が伝っていた。 「泣かずに見送りたかったのに」 「その涙は、必ず拭いにくるから」 ハンカチで目を押さえる栞になにもできないカイトの、せめてものことばだった。
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