107人が本棚に入れています
本棚に追加
少し早めに蓮以外の4人が集まったのは偶然じゃなかったのかもしれない。だって、遅刻常習犯の宏実が一番乗りだったから。
まだ言われた時間まで30分もあるのに。……みんな、考えることは同じなのかもしれない。
「……同い年なんだから、何か知らないの?」
「校舎ちがうし寮でも会わねぇし……知らねぇよ」
「………………」
なんとなく重い空気の中、誰に向けたわけでもなくつぶやいた言葉に、携帯から視線を外すことなく宏実が答えた。相変わらず口が悪い。
その隣でなんだか美貴がそわそわしていた。
「美貴、なんか知ってるの?」
「……えっと、その…………昨日……転校生、来て……」
ああ、そういえばそんな噂聞いたかも。二人同時に来るって変なのって思ったし。
「……そのうち、の、1人が……蓮と……同じ、クラスで……昼休み……俺、たまたま……C組の前、通ったら……なんか……転校生が……騒いでて……
その目の前で…………今までに、見たこと、ない……ような…………冷たい目の……蓮、いた……」
「転校生、か」
「……なんか……怖くて、すぐ……逃げたから……あとは、わかんない」
今までに見たことないような冷たい目の蓮。
正直そんな蓮想像出来ない。だって蓮はいつも笑顔で楽しそうで、明るくて……。
「転校生と、何があったんだろうね……」
孝志がそう小さく呟いて、その場に静寂が流れた。
最初のコメントを投稿しよう!