(二)

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 代々人形作りを務めてきた社の家が負けたというだけでない、所詮はよそ者の蘇芳に自分たちの土地を穢されたような気になったのだろう。人の心というのは、つくづく不合理で厄介だね。  そうさ。この明確な理由のない人心の理不尽さが、あのような悲劇を引き起こしたのだろうね……  おっと。その前に、まずはあの儀式の話をしないとね。  表面上は変わりない数日が村を押し包んだ。やがて日は移り、とうとうやってきた。  魂込めの日だ』
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