(四)

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 そして大蛇は逃げ惑う人々の中にいる大路を頭から呑み込むと、そのまま天に向かって駆け上がり、ふっと姿を消したそうだ。山鳴りと豪雨の音が轟く中、少年は確かにこの光景を見たと言い張った。誰もそんな蛇を見てはいないというのに。けれど村の人々は一様にその話を信じ、震えた。事実、大路の死体は見つからなかったからね。  さあ。これで僕の話はお終いだ。あの悲しくも怖い唄の由来。長かったかな? ごめんよ。  あれ、なんだか雲行きが怪しいね。  今にも雨が降り出しそうじゃないか……』   *****
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