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晴夏様は選ばれたのです」
「えらばれた……?」
「はい。日本にいる全ての高校生の女性が対象となり、選考して行くのです」
「何でまた私何ですか?」
「それは私にもわかりません。ですが、今までに選ばれた方は立派なお嬢様として今でも活躍などしておられます。だから晴夏様も大丈夫ですよ。あとこれを」
何処からか、マジシャンのように品のいい紙を取り出した。そこに印されていたのは――。
〝藤 晴夏様
貴女は日本中の多くの女性の中から、
上泉(かみいずみ)家の花嫁候補として選ばれたのです。
花嫁にふさわしいかは
執事の判断にお任せしております。
花嫁候補として頑張って下さいね。
上泉〟
「花嫁候補って何ですか? 私嫌ですよ!」
「確かに、花嫁は私(わたくし)も困りますね」
「え?」
「いえ、何でもありません。それよりお店の方はよろしいのですか?」
あっ! と言うように動き始める晴夏を見て、クスッと笑った。
「失礼ですが、このお店は少し寂しいような気がします。一本ずつ売っていらっしゃるお花はございますか?」
と彼は言う。晴夏ははいと答え、お花をよいしょと持ってきた。
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