いじめ対策法

6/15

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
 休み時間。  三島はフライング気味に教室を出た。  隣のクラスへ向かう。  「三島さん」  いつもつるんでいるグループのメンバーだった。  そいつらの顔を見ると、三島は安堵する。  本来ならば、いつも堂々と校内を歩き、弱い者どもを見下し、自分がスクールカーストの上位にいることを確認していたのに、今はなぜ、こんなにも不安なのか。  その原因はわかってる。  あの、「いじめ対策法」のせいだということは。  ふと教室内から、何か居心地の悪い視線を感じる。  見回すと。  あの霧堂のように、不気味な薄ら笑いを浮かべたやつらが、数人こっちを見ていた。  その顔には覚えがある。  三島と三島のグループがいじめた連中だ。  パシらせたり、便器に顔を突っ込ませたり、ストレス解消のために蹴り飛ばしたり、他にも何か色々した。  そいつらが、何をするでも言うでもなく、じっとこちらを見ているのだ。  その胸には、きらりと光る金のバッジが、一様に輝いていた。  「…っ、行こうぜ」  三島は視線に耐えられなくなったのか、振り切るように教室を出た。  ***
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加