2人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
休み時間。
三島はフライング気味に教室を出た。
隣のクラスへ向かう。
「三島さん」
いつもつるんでいるグループのメンバーだった。
そいつらの顔を見ると、三島は安堵する。
本来ならば、いつも堂々と校内を歩き、弱い者どもを見下し、自分がスクールカーストの上位にいることを確認していたのに、今はなぜ、こんなにも不安なのか。
その原因はわかってる。
あの、「いじめ対策法」のせいだということは。
ふと教室内から、何か居心地の悪い視線を感じる。
見回すと。
あの霧堂のように、不気味な薄ら笑いを浮かべたやつらが、数人こっちを見ていた。
その顔には覚えがある。
三島と三島のグループがいじめた連中だ。
パシらせたり、便器に顔を突っ込ませたり、ストレス解消のために蹴り飛ばしたり、他にも何か色々した。
そいつらが、何をするでも言うでもなく、じっとこちらを見ているのだ。
その胸には、きらりと光る金のバッジが、一様に輝いていた。
「…っ、行こうぜ」
三島は視線に耐えられなくなったのか、振り切るように教室を出た。
***
最初のコメントを投稿しよう!