いじめ対策法

　校舎裏。
　三島たちは寄り固まってタバコを吸っていた。

　「あー、ガッコで吸うタバコはやっぱサイコーだわ」
　三島はようやく落ち着いたように、紫煙を吐き出す。

　「あいつらさあ、調子乗り過ぎだよな」
　三島の声には、いつもの調子が戻っていた。

　「全く、あのふざけた法律が施行されたせいだぜ」
　角刈りで吊り目の利根が、三島に同調して言う。

　いじめ対策法。
　いじめを全国から根絶する目的の法律。

　始めは皆、形だけの法律だと思っていた。
　いじめをなくすなんて絶対に不可能だと。

　しかし、その法律は画期的だった。