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何が画期的かというと、いじめを明確な「犯罪行為」とし、罰則を与えることを定めたのである。
もしいじめの現場を目撃されたり、いじめの写真や動画映像などの証拠が提出された場合、そのいじめの度合いに応じて、被害者に慰謝料を払わなければならないのだ。
更にいじめ被害者には特別保護措置が施され、彼らをいじめた場合…。
「う…」
三島はその時のことを思い出すと気分が悪くなる。
それでもやめない常習者は、最悪の場合少年院送りになるという。
この法律が施行されてから数日で、全国のいじめの数は激減した。
誰もが学校の雰囲気が変わったことを感じていた。
今まで子供の戯れ程度だと思われていた行為がはっきりと「悪」と認識され、それが減ったのだから、ほとんどの者にとっては朗報だった。
三島たちのような人間を除いては。
「くそっ、俺たちが悪だと?どいつもこいつも本性隠して善人面しやがって」
「全くだ。世の中には見逃されてる悪が溢れてるってのによ。俺の親父なんか、毎晩俺を殴るんだぜ。いじめで憂さでも晴らさないとやってらんねーよ」
「そうだ、いいこと考えついた」
三島が頬を緩ませる。
悪事を思いついた時の顔だった。
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