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さて、どうしてぼくたち学生スパイが必要なのか――その問いに答えるためには、現代の学校はがもはや昔の「学校」ではないということを、きみたちにも説明しなければならないだろう。
ことの発端は、ある教育学者一派が「子ども至上(しじょう)主義(しゅぎ)」を唱えたことにある。
世界中のほとんどの問題の原因は「大人」にあるんだから、いっそ「大人」と純粋(じゅんすい)無垢(むく)な「子ども」を切り離してしまおうという考え方だ。こうした考えをする者のことを、ある人は敬意をこめて、ある人は皮肉をこめて「ピーターパン」と呼んだ。
この考え方も呼称(こしょう)も、もとはジェームス・マシュー・バリーという戯曲家(ぎきょくか)が作ったあの『ピーターパン』がその由来と言われているが、実際のところどこまでが真実かは不明だ。
さらにそうしたピーターパンたちが考えた「賢い子どもが治める学校などの共同体」のことを、「ネバーランド」といった。
ピーターパンたちによれば、ネバーランドこそがあらゆる世界の問題を解決できる理想郷なのだという。
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