298人が本棚に入れています
本棚に追加
――さてきみたちは、「スパイ」と聞くとどんなキャラクターを思い浮かべるだろうか?
鍛え抜かれた肉体とスマートな頭脳をもつ、イケメン? あらゆる男を虜(とりこ)にする、魅惑の美女? それとも冷酷な思想を秘めた、クールな裏切り者?
いや、それだけがスパイではない。スパイの仕事は、決して悪党を殴り倒しビルを爆破するだけではないからだ。
スパイとは本来はもっと、静かなものだ。だからこそ、誰がスパイでもおかしくはない。
でもたとえば、こんな場合はどうだろうか――街中ですれ違うようなごく普通の男子高校生が、スパイとして活躍することは?
ない、と賢いきみたちは思うかもしれない。高校生の分際でできることは限られているし、大人と戦えるわけがないし、何より依頼がくるはずないじゃないかと。
確かにそれはつい最近までの世界では正しかったはずだ――今では全然、状況が違うんだけど。
なんてったって学校では、「生徒が教師よりもえらい」時代だからね。
そのことも後できちんと話をしなければ、ならないみたいだ。
そんなことより、おっと――このすばらしき物語の主人公である、ぼくの自己紹介を忘れていたようだ。
ぼくの裏の名(コードネーム)は「ソウ」……何を隠そうぼくこそが、「ごく普通の男子高校生スパイ」なのさ。
最初のコメントを投稿しよう!