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ぼくが去ろうとした瞬間、突然ものすごい力でぼくは足をつかまれた。
「ここは、通さない!」
美少年は右手でぼくの右足を思い切り引くと、ぼくはバランスを崩し床に叩きつけられる。
なんて怪力だ、その容姿からは想像もできない。
「へへ……そうこなくちゃ、面白くないね」
ぼくが苦笑いしている間に――美少年はぼくの足を持ったまま立ち上がり、勢いよく拳を振り下ろした。
ぼくはとっさに身体を左に回転させ、その強烈な攻撃をよける。
「おりゃ!」
美少年は続けて拳を振るう。何とかガードしたが、鈍痛がぼくの右腕を襲う。
だが今この瞬間、勝機はつかんだ――
「なっ!?」
ぼくは一瞬のすきをついて、自分の左足を美少年の右腕に蛇のようにからませた。
さらに自分の身体をひねることで美少年を引き倒し、そのまま右腕をとって関節技にもちこむ。
「ぐぐぐ……」
馬乗りになり、ぼくはそのまま美少年の首に自分の左腕を当てる。
美少年の顔がみるみるうちに青ざめていき、暴れる元気がなくなっていく。
美少年は空いた左手でぼくの制服の襟をつかみ、投げ飛ばそうと試みる。
悪くはない、しかし経験不足としか思えない。暴れれば暴れるほど、ぼくの腕はますます彼の首に食い込むのだ。
これはそういう技なのだから。
「う……」
美少年は目を閉じ、がっくりと倒れこんだ。どうやら「落とす」ことに成功したらしい。
ぼくはようやく美少年から離れ、周囲を確認した。
すでに倒した生徒たちが、むっくりと起き上がっているのがわかった。
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