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「くそ、時間稼ぎが狙いか」
美少年の対応に完全に時間をとられてしまった。逃げなければ。
「急げ! 敵が逃げるぞ!」
またどこからか声がしたから、ぼくは階段を飛ぶようにして降りて、非常口を目指す。しかし廊下の先から、大勢の生徒たちが走ってくるのが見えた。
「ちっ! こっちは無理か!」
ぼくはきびすを返し、昇降口を目指す。
「いたぞ、入り口を封鎖しろ!」
――バカめ、ぼくが脱出ルートを考えている時には、二も三も考えておくものなんだよ!
昇降口がバリケードでふさがれていることくらいは想定済み、それに東校舎の非常口が空いていなくとも問題はない。
一番奥の教室の窓だ――そこに仲間がすでに待機している。そこの窓から無理やり飛び出せば、もう終わりだ。
何人いようが、絶対に突破できる。
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