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「センパイ……また引っかかりましたね?」
「は?」
ぼくが間抜けな声を出した瞬間であった――ガチャリガチャリと、無情な金属音がした。
慌てて目をやる――ぼくの両手に、太い手錠がつけられたのだ。
「あ、あばばばばば……」
そんなことをしているうちに、四方から敵が群がってきたのだ。
「しまった! 貴様、裏切り者か!」
「気づくのが遅かったみたいですね、センパイ。
はじめからわたしとセンパイは、仲間なんかじゃありませんよ」
ぼくのスパイ仲間は制服を着ながら、背中越しに言った。
「くそー! 純粋そうな顔してからに、騙された! おのれ下品な女め、それも悪くないんだが今回は――」
ぼくが考えつくありとあらゆる悪態をついているうちに、数十人の男女に囲まれてしまった。
「もうおしまいだぞ。観念しろ」
「く……く……」
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