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澄み切った青の中にひとつ、大きな入道雲がこちらを見下ろすようにどんと居座っている。
道の脇に立っている木々からは五月蝿い蝉の声が窓越しに聞こえてきて、クーラーが効いてる車の中だからいいけれど、汗をハンカチで拭いながら歩くサラリーマンを見てるととても大変そうだ。
目の前の横断歩道を渡っていくその様を他人事のように眺めていた。
「にしても、眠たいなぁ…」
せっかくの夏休みだというのに大学の補講が入り、1限から4限まで昨日から1週間大学へ行かなければならないのだ。
まぁ、文句を言おうにも、まともに勉強しない私たちが悪いので仕方がない。
信号が青に変わり、アクセルを強く踏んだ。
車内には眠気を覚ますためにかけたいるダンスミュージックを大きめの音で響いている。
制限速度50km/hの道を前の車に続いて走っていたらいつの間にか80km/h以上出ていた。
(まぁ、歩行者もあんまりいないし大丈夫だろ。)
カーブを曲がったところで角度が変わり、夏の日差しがフロントミラーを突き抜け、私の顔を思い切りてらした。
「うっわ、まぶし」
私はあまりの眩しさに思わず目をつむり、その光をやり過ごそうとした。
そこで、危ないからとブレーキを踏んでおけばよかったんだ。
私は眠さのせいか、慣れた運転に危機感が欠落していたせいか、カーブを曲がり、その後加速したそのスピードのままで目を瞑ってしまった。
目を瞑った次の瞬間、突然大きな衝撃が全身を襲い、私はエアバックが正常に作動したのにも関わらず、強く全身を打ちつけ、意識を失った。
最後に見たのは、目の前でぐしゃぐしゃになったボンネットと、ボンネットの崩壊に比べて外傷が少ない大型トラックの後ろ姿だった。
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