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「……っうぅ…」
全身の筋肉痛のような痛みを感じ、私は意識を取り戻した。明るい場所なのか、えらく眩しくて目が開けられない。
それに、とても暑い。肌が焼けつくようだ。
この暑さから逃げようと少し体を動かしてみようと全身を揺らすと、ひどい痛みが脚や腕をおそい、動かすのをやめた。
しばらくそのままでいると明るさにも慣れてきたのでうっすらと目を開く。
目の前には木でできた天井があり、自分の家ではなさそうだし、木そのものがむき出しな木製の天井の病院など私は知らない。
(…ここはどこだろう。)
首も捻ったらしく動かすのは躊躇われたので、極力動かさないように目だけで辺りを伺った。
ここはあまり広い部屋ではないらしく、すぐに壁が見えた。その壁にある大きめの窓から強い夏の日差しが入ってきており、ちょうどそれが私に降り注いでいた。
どおりで眩しいわけだ。
こんな場所にベッドを置いたなら、せめてカーテンでもつければいいものを。特に負傷者を置くならば。
まだ見ぬこの家の主人の粗雑さにむっと顔をしかめた。
(それにしても、なぜ私はこんなところにいるんだろう。普通事故にあった人がいたら病院に搬送するだろ。受け入れる病院がなくて仕方がなく僻地の診療所に回されたとか?)
自分の雑な扱いに怒りを覚えながらも、見たことのないこの場所に急に不安になってきた。
「す、すみません、誰かいらっしゃいますか?」
とりあえず誰かしらいないか声をかけてみた。しばらく眠っていたからか、声がうまく出せなくてか細いものになってしまう。
これでは聞こえないだろうともう一度声を出そうとしたとき、奥のほうから大きめの足音が聞こえてきた。
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