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「お嬢ちゃん、起きてるか?」 何分そうしていただろうか。気がつくと目の前に熊さんがいて、その手にはコップと丸くて深い皿とスプーンが握られていた。 「あ、ありがとうございます。私また寝ちゃってて。」 「それだけ怪我をしているんだ。眠たくて当然さ。ほら、こいつをお食べ。…っと、まだ自分で起きられないよな。」 熊さんはそう言うとベッドサイドにあった机にそれらを置き、私の首と背中の後ろに手を入れて、ゆっくりと負担をかけないように起き上がらせてくれた。 正直、体が痛んだが、支えられているせいか、我慢できる程度だったのでされるがままに起き上がらせてもらった。 熊さんは背中にクッションをたくさん置いてくれ、手に水と深い器に入ったスープを渡してくれた。 木製のコップに並々と注がれた水に思わずかぶり付き、一気に飲み干した。 「…はぁっ!生き返るっ!」 病人に冷たいのはダメだと思ってあえて生ぬるくしてあったのか、温めの水はいつもだったらあまり好まないのに、このときばかりは全身に染み渡る旨さで何にも変えがたいありがたさがあった。 喉を潤したら次は腹を満たそうとばかりに標的を変えると、何かの肉の欠片と野菜が入った薄めのスープを手に取り、私は貪るように食べ進めた。 「っ!ごほっごほっ!」 「ああほら。そんな急いで食べるから。飯は逃げていかないから、ゆっくり食べなさい。」 あまりに急いで掻き込んでいたので、気管支に入り込み、むせた。 優しく背中を叩く熊さんの暖かい手に幾分か落ち着きを取り戻し、私は言われたとおりゆっくり食べ始めた。 「おかわりもあるから言いなよ。」 熊さんはそんな私に呆れたのか、軽く笑うと、近くにあった椅子に腰を掛けた。 「…おかわりお願いします。」 その言葉に甘えて、恥ずかしながらも、私は2度おかわりを請求した。
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