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家につき、まず魔法の練習の前にご飯を済ませることになった私たちは、簡単に済ませようと今日買ってきた黒パンに加熱してトロトロになったチーズをのせ、その上にカリカリに焼いた巨大熊(ジャイアントベア)の肉をのせたものを即席で作った。
野菜もとりたいと言ったところ、おまけにキャベツと玉ねぎとトマトのサラダも食べることになった。
まるで朝ごはんのようなメニューになってしまったが、早く魔法を習いたい私にとっては全く構わない。熊さんもそこまで食事にこだわるタイプではないらしく、当たり前のような顔をしてそれを口に運んだ。
「もぐもぐ…魔法を!教えてくださぁい!」
「待て、落ち着け。とりあえず片付けてからだ。」
「わかったすぐに片付ける。」
早く始めなければきっともう遅いからなどと言って明日に延期させられるかもしれない。そう思った私は速攻で食べ終わると、洗い物も素早く済ませ、熊さんが食べ終わった食器も中身がなくなるのを確認すると奪い取り洗った。
そんな私の様子を呆れた顔をしながら眺める熊さんは、私が全て片付け終わったのを確認すると腰を重そうに上げた。
「どれだけ必死なんだよ。仕方ないから真っ暗になる前に行くか。」
「わーい魔法だー!」
「なんだか子供みたいだな。」
足取り軽く家を出る私に熊さんは頭をかきながらゆっくり着いてきた。
「魔法に夢を見ない人なんていないのよ!」
「まだアヤが魔法を使えると決まったわけではないからな。」
「そこは、ほら、修行とかでなんとか!」
「素質があるかないかだからなー。なんとも言えないが。」
「きっとあるわ!」
「俺もそう信じてるよ。…修行とかになってずっと付き合わされるのはうんざりだ。」
「なんか言った?」
「いえ、なんにも。」
小さく聞こえた言葉に口を尖らせながら問うと、熊さんはすっと顔をそらした。
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