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熊さんは家から出ると裏側にまわり、木々が生い茂る道をずんずん進んでいく。辺りは日が山の向こう側に落ちてからどんどんと薄暗くなっており、空は紫色に染まっていた。 草が生い茂るなか、踏み固められたのか草が生えていない場所があり、一本の道のように繋がっていた。しばらく熊さんに続きその道を進むと、大きく開けた場所に出た。あちらこちらの木や地面に焼け跡や傷がついていたり穴が開いている。 「ここは俺の練習場所だ。よく剣の型の練習や魔法の練習をしているんだ。ここなら思いきり魔法を打っても周りに家はないから誰かがのこのことやってこない限りは人に当たることはないだろう。」 「森の中にこんな場所があったとは…!」 「さっそく始めようと思うが、最初にいっておく。無茶はするなよ。危ないと思ったらすぐに中止しろ。わかったな?」 念を押して言う熊さんに過保護だなと心の中では苦笑いしながらも、その真剣な目に遊びでやるんじゃないと諭された気がした。攻撃にも使うという魔法は、コントロールできなければ最悪死をももたらすものだ。熊さんが真面目に言う理由もよくわかる。 「…はい。わかりました。」 「よし、じゃあ、まずは魔力の練りかただ。」 気持ちを入れ換えようとはっきりと返事をする私に納得したのか、熊さんは軽く深呼吸をして講義をはじめた。 「魔力は誰しもの体の中に眠るもの。それを引き出すのにもっとも必要なものは集中である。」 「集中…。」 集中とか、そんな精神論で突破できるものなのか。うそだろ、まじかよと熊さんを見上げると、そのなめた感情を見透かされたのか軽くにらまれた。 「すんません。集中集中…。」
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