悪い夢だと思いたい

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「ま、どうぞ」 「こ、これは?」 「ああ、アイスという食い物です」 「あ、あいす?」 「はい。冷たくてうまいですよ」  俺がそういうと、彼女はアイスと俺の顔とをかわりばんこに見比べながら、おずおずと手を差し出した。 「かようなものを見るのは初めてじゃが、奇妙な色をしておるの」 「でもなかなかイケますよ」 「む、なるほど、たしかに美味じゃ」    このヘンなしゃべり方の女の子と出会ったのはついさっき。ふらりと立ち寄った近所の古い神社だ。制服を着ているから、普通にどこかの女子高生だろうと思ったのだが……。 「……で、あんた、どっから来たんです?」  「お忍びで城下の祭りへ参ったのじゃが、気づいたらここにおった」 「うーん、それ、いつの話です?」 「むろん今日じゃ。天文8年8月8日に決まっておろう」 「……ごめ、なんか、急にめまいが」 「ど、どうしたのじゃ!?」  終わり
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