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これは握手しろってことか?
どうしようか決めきれずに黙って差し出された手を見つめてみる
それに、俺にはこの右手より気になることが1つある
「……名前」
「ん?名前?」
握手を返さずに手を見つめたままぼそりと呟いた俺に、嶋崎が頭にハテナマークを浮かべながら聞き返してきた
「なんで、下の名前で呼ぶんだよ。名字でいいだろ別に」
「なんでって、決まりだから」
「は?なんだその決まり聞いたことねえよ」
「まあ智茅は今日が初めてだから知らないだろうね」
なんだそれ意味わからん
なんで俺が嶋崎に名前で呼ばれなきゃいけないんだ
「そもそもそんな決まり誰がなんのために作ったんだよ」
「俺が、全学年のFクラスのヤツと仲良くなるために作ったんだよ」
そう言って嶋崎は、
まるでとても大事な人を見るみたいな、幼い妹や弟を慈しむみたいな
そんなものすごく優しい顔で笑った
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