アリッド

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 あと、スプリンクラーは使えないから火に気を付けろ、とも注意された。劣化もそうだけれど、プログラミング上書き換えられていたと。  私のせいなんだろう。万が一スプリンクラーが作動したら、増設しまくっていた私の前の体がどうなるかわからなかったから。 「マスター」  私は、ベッドに腰掛けた。ベッドから、マスターの煤がよく見えた。 「ねぇ、マスター。次にゲインが来たら “おかえり”って、言っても良いかな?」  もう、マスターに言うことは叶わないけれど。良いだろうか。 「ねぇ、マスター。良いかな」  マスターから、当然返事は無い。私は、ふっと、笑った。  マスターなら、“良いんじゃない? 遠慮せず言っちゃいなよ”って、言う気がしたのだ。 「そうだね、マスター」  相槌の無い会話を楽しみながら。  私は、いつになるか予定不明の訪れを再び、待とうと思った。  そうして出迎えよう。 「おかえり」  って。    【Fin.】
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