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――ちゃんと笑えているか心配だった。
盛隆高校の生徒たる私の居場所は、教室内にはなかったように思える。
かといって、自分の席がないとか、私があまりにも太りすぎてて教室が狭かったとかいうことではなく、思春期相応の悩みを抱えていたにすぎない。
昼休みや授業の合間の時間。当たり前のごとく群れるクラスメイトのグループに、私も義務感をもって近づいては、曖昧な相槌を打っていた。
「ペッキーの業界復帰どうおもう~?」
「あれ絶対嘘泣きだよね~。」「でもちょっと可哀想かも」「最悪なのは男のほうだって」
「あれ、ウチだけ否定派?ウケるんですけど」
「XXはどっち派?」
「私はセンテンススプリングよりもニューソルトが好きかな」
けれど例えば、どうしようもないほど話題に対して興味がなくて、相槌を打つタイミングすらも見誤り、空気が読めていない発言をしてしまったら。
「え、なになに。どゆこと?」「XXは天然だね~」「こういう話は早すぎるのかなwww」
こんなふうに、『自分』という新しい話題を提供して小バカにされたり、変に嫉妬されたりもする。
別にその発言一回がキッカケだったというわけではないけど、蓄積されたそういうエピソードが私に、クラス内の『変わり者』というレッテルを貼り付けた。
いじめとかではないけれど、この立ち位置は存外、寂しい立ち位置であることを知った。
誰も私に対して、平等に話すことはないのだ。まるで介護をうけるおばあちゃんと話すみたいに、お世話をするかのごとく。
『XXちゃんは文化祭で何がしたい? うんうん、そっかー。なるほどーじゃあ一応書いておくね』
意見を求められることはあっても私の考えが採用されたことは一度もない。
もっとも、採用されるほどの妙案を言ったことなんてないけど。
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