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トントントンと人差し指で机を鳴らす。
小気味よいリズム、だが少し投げやりで乱暴な音は若干の苛立ちがみられる。
クリーム色の丸テーブルと彼が座っている椅子の他には二脚の椅子しか置いてない小ぢんまりした殺風景な部屋。
指を机に打ちつける音は殺風景の部屋に響き、だんだんと大きくなってるように感じる。
「勝田さん。ブラックですよね?」
殺風景の部屋にひょっこり顔を覗かせたのは二十代半ばの青年。
青年が現れた途端、音が止まった。
百八十以上はあるだろう身長にシワのないパリパリなスーツを身につけたその姿は『入社したての新人です。』と語ってる。
「おっせぇぞ、カツラギ。コーヒー買うのにどんだけ時間かかってんだァ?」
勝田と呼ばれた彼。
白髪頭まじりののボサボサ頭に無精髭をはやしてまるでホームレスのそれだ。
一目見た印象では六十にもなっていそうだが実際は四十後半のバリバリの現役。
四十七年間刻み込んだ眉間の皺は渓谷よりも深い、と大袈裟に言ってしまいたくなるほどだ。
縒れたスーツの上からも太く逞しい筋肉が長年の訓練と実績の賜物なのだろうと見て取るようにわかる。
「……柏木(カシワギ)です。」
と、少しムッとしたように口をハの字に曲げる。
柏木から缶コーヒーを受け取った勝田はムクれてる柏木を余所にグビリと喉を鳴らす。
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