『性善説』

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「……で?」 話を促す様に勝田は柏木を一瞥する。 その鋭い眼光だけでひと一人殺せてしまうんではないかと思うぐらい迫力がある。 「うぅ……。そんなに睨まないでくださいよ……、寿命縮まるぅ……。」 と、びくつきながらもぼやく。 柏木が勝田の元についたばかりの頃は獲物を射殺すような眼光に毎日のように泣かされていたが、半年経った今では生意気にも口答えもできるようになった。 「精神鑑定送りですよ。」 ここにいる二人のではない声が柏木の背後から飛び込む。 声が飛んできた途端鋭かった眼光をより尖らせ、眉間の皺をさらに深め、不機嫌を顕にさせる勝田。 条件反射で後ろを振り返り声の主を確認する柏木。 「い、伊東さん!お疲れ様です。 急に声を掛けられたので驚きましたよ」 バクバクと早鐘を打つ心臓を押さえながら背後にたっていた伊藤と呼ばれた男に挨拶をする。 「すまないね」 と、伊東はニコリと笑うがその笑顔はどこか胡散臭さがある。 柏木と背格好は変わらないが、面長にキツネのみたく釣り上がり細い目に薄唇で薄ら笑いを常に浮かべてるせいなのか、買ったとはまた違う威圧感があり見た印象伊東の方が大きく見える。
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