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同期というだけでここまでベタベタされるなら、いっそ入社年度など明かさなければよかったと思った。面倒くさい。
〝面倒くさい〟
そうだ。
小田村は健にとって、往々にして面倒くさい人物だった。
『小田村さん、お話し中のところを大変申し訳ありませんが、チームに戻って封緘を手伝っていただけますか』
同期というものは本当に面倒くさく……因縁深い。他の誰の粗よりも、小田村のそれが目につくようになった。小田村が健とは正反対の人間であることも、原因だったと思う。
いつも飄々(ひょうひょう)としていて、とらえどころが無い男だ。軽薄な態度であちこち茶々を入れ回っていたかと思えば、チームミーティングでは驚くほど的確に、チームの体制の泣き所を突く。そのさまは一変して熱心であり、ともすればチーム全員を敵に回しかねないほど過激で、危うい。もっと良い言い方があるだろうに世渡り下手だな、と立ち回りの得意な健などは思ってしまう。
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