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『おはよう、お嬢! ご機嫌麗しゅう?』  でもやっぱり無理だった。そうそう我慢なんてしていられない。仏の顔も―― 『うるさい! 今度そう呼んだら起案文書丸めてその口に突っ込んでやりますよ!』  ――最大譲歩で、千度までだ。 『きゃー、〝突っ込む〟だなんて卑猥ぃ』 『はっ……なんでしたら、卑猥になるかどうか、今すぐ試してみます?』  最初の一年の反動がきて、次の一年は徹底的にぶつかっていった。相手が黙るまで言い募ることもしばしば。与えられたストレスは、利子をつけて返してやった。理詰めで小田村を言い負かすのは簡単だった。彼は決して馬鹿ではないが、ラリーの応酬で本気になった健に勝つには、粘り強さが足りない。
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