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 スカッとした! 劣勢になると話を逸らそうとしたり、適当におちゃらけて済まそうとする小田村の、首根っこを捕まえて再び演台に引っ立たせ、その上で打ち負かすのは爽快だった。何かにつけて小田村はへらへらと絡んでくる。それらすべてを愚直に受けて真剣勝負に持ち込み、相手が逃げ腰になっても決して放さない。ある意味復讐だ。キヅキと呼ばない小田村への、自分でもうんざりするほどねちっこい。  どれだけ倒してもまたすぐ同じようにへらへらと立ち上がってくるのだから面白い。それを何度も倒す。もぐら叩きのように。  濁った愉悦。それでも、最初の一年の長き鬱屈と比べれば、いくらかマシだった。毎日毎日、終業までが早かった。小田村との対決に伴う高揚と満足感は、日々の時間を加速させた。  しかし代償は大きかった。 〝おしどり夫婦〟
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