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熱いシャワーを、時間を掛けて浴びた。パジャマに着替え、頭を拭きながらソファまで戻ってくるころにはもう、糾弾するように激しく鳴っていた心臓の音も、落ち着いていた。テレビを点け、適当に気分の上がりそうな番組を探す。時刻は午前零時を回っていた。いつもは観ないお笑い番組にチャンネルを合わせる。
サラリーマンを装った二人組のコントだった。場所はオフィス。同僚役らしき男が既に座っていて、そこに一人の男が出勤してくる。彼は徹夜で作ったという資料をビジネスバッグから取り出す。と、その時、彼のバッグから謎の手紙が滑り出る。同僚の男はこっそりとそれを拾う……。
ふと思い出して、健は重い腰を上げた。飲みかけのペットボトルがまだバッグに入ったままだ。キッチンと一体になった廊下へ出て、玄関に置きっぱなしのビジネスバッグを掴む。中を開け、ペットボトルを取り出そうとすると、バッグの内ポケットで携帯の通知ランプが点滅したのが見えた。
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