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 が、中には同期と友人をイコールで結びつける人間もいる。健の苦手なタイプである。  思えば小田村の態度は初日から気安すぎた。 『ねぇねぇ、キヅキくんって言いにくいからさ、ジョーくんって呼んでもいいかい?』  健は、自分は短気な方ではないと自負していたが、さすがに礼を欠いた発言だと思った。名前が呼びにくいからあだ名で……などと、普通、初対面の相手に言うだろうか。  もちろんその申し出を健は拒否した。苗字を馬鹿にされているのだと思い、軽い苛立ちすら覚えた。ところが小田村は、自分から『呼んでもいいかい?』と伺いを立てておきながら、都合の悪い答えには耳を貸さなかった。それでいて悪びれもしない。まるでそう呼ぶのが双方にとって最善だとでもいうように、その日から、〝ジョーくん〟と呼び始めたのだ。
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