ガラスの向こうに立つ影は、

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手掛かりになるものは無いかと、久々に夜になっても捜索が続けられた。 俺の両親も参加する中、俺はと言えば、子供はもう帰りなさいと日暮れになると帰宅を促された。 大人しく帰って婆ちゃんが晩御飯を作るのを手伝ったりして過ごしていると、いつもより少し時間が経つのが遅い気がした。 おばさんは少しでも希望を持とうとああ言っていたが、俺は逆に止めを刺された気分だった。 きっと土手が崩れた時に一緒に落ちてそのまま川に、なんてそんな想像しかできない。何かしていないと気がまぎれない。 爺ちゃん婆ちゃんがもう寝てしまって自分は寝付けずにいるからさらに時間を持て余していると、玄関の方で物音がした。 父さんか母さんが帰ってきたと思い、何か進展はあったか聞こうと出迎えに廊下へ出る。 ……何かが変だ。 暗い、と感じたのは最近外に取り付けたセンサー式のライトが反応していないせい。 確かにそこに誰かいるように感じるのに明かりが灯らない。 ポタ、ポタ、小さな水音が妙に響いて聞こえる。 音を伴い伸ばされた手が戸にかかった。 「……誰だ?」 ライトが反応しないのは故障で、水音はうっかり川に落ちてずぶ濡れなのか。 偶然その2つが重なって不気味な雰囲気を醸し出しているだけなんだろう。 そう考えて、父さんか母さんの声が返ってくるのを待っている。 「ミキちゃん、いれて」 けれど聞こえてきたのは、ある意味一番望んでいたはずの声だった。 「マコ……?」 少し高めのその声を聞き違えるはずがない。 そして俺は久々に思い出していた。9歳のあの夜を。
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