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俺は肩に添えられた隆太の手にそっと手を合わせて、クスリと笑う。 「ちなみに、何がしたいの」 「……とりあえずキス」 「はいはい」 隆太は俺が返答すると同時に、唇を重ねてきた。 久々の感触。なんて言うか、綿菓子とマシュマロを足して割った感じの柔らかさ。とにかくふわふわ。 「んっ……ぅ……」 あれ、隆太の唇ってこんなに気持ち良かったっけ。 触れ合った唇の端から、ほんの少しの吐息が漏れる。唇が離れた瞬間、耳元に熱の篭った声がかかった。 「今日は会えなかった分まですっから」 「えっ……んんっ!?」 俺の顎にそっと指を添わせて、隆太はキスがしやすいように顔の角度を変えた。 そのまま勢いよく、強引ともとれるキスを落とされ、キスをされた状態のまま眼鏡を外される。 先に、外せば良かったのに。 視界は一気に霧がかったように見えなくなってしまったけれど、本当、隆太の顔だけは良く見える。
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