158人が本棚に入れています
本棚に追加
金色の髪が、視界の端でさらりと揺れた。目を瞑るタイミングを逃した俺と、ゆっくりと瞼を上げた隆太の視線が交差する。
それでも唇は離れていかなくて、見られてる事が恥ずかしくなり、隆太の胸をトントンッと叩いた。
「隆太、長過ぎっ……これじゃあ息がーー」
「いいからもう一回」
「……っ!」
俺の抗議でやっと唇を離したかと思えば、隆太は再び俺の唇を塞ぐ。
今度はガッチリと頭を押さえられてしまった為、逃げ道はどこにも無くなった。
何度も何度も、短く触れては離れてを繰り返す。その度に、聞き取れない程小さく声を上げてしまう。
「……っ、……っ……」
キスをしたかと思えば直ぐに離れて、離れたかと思えば、間髪入れずに塞がれる。
休む暇なくキスしてくるから、息継ぎのタイミングが掴めない。
俺は反射的に目を瞑り、隆太から与えられるキスの雨を必死に受け止めた。
ちゅ、ちゅっ、と唇が触れ合う音だけが耳に届く。
ああもう、耳を塞ぎたい。
この音が俺達の纏う空気をどんどん変えていくみたいで、酷く怖かった。
最初のコメントを投稿しよう!