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今、俺の顔は、恐らく茹で蛸のように真っ赤だろう。だって、こんなにも熱い。 ダメだ、頭がクラクラしてきた。 「……ふっ……、ん、んっ……」 もう既に何回されたかなんて覚えてない。時間だって、どれくらい経ったのかわからない。 何も考えられなくて、苦しくて押し返そうとしていた手からはどんどん力が抜けていく。 俺は自分でも気付かないうちに、隆太の洋服を掴んで握り締めていた。 性急に追い詰められ、俺の目尻に薄っすらと涙が浮かぶ。 触れるだけのキスでこんなになるなんて、思いもよらなかった。 それからも何度かキスをされ、唇を離した隆太も俺と同じく酸欠なのか荒い吐息が俺の頬を掠める。 「……はっ……はぁ……」 その吐息と少しだけ漏れ出した声に、ビクッと身体を震わせた。 何、その、声。 いつもとは明らかに違う隆太の様子に、また体温が上がる。 俺も必死に空気を取り込もうとして口を開けるも、上手く取り込めない。 それもこれも全部、隆太のせいだ。
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