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実行委員が終わった後、教室に戻った俺は帰る準備をしていた。 携帯電話を確認すれば一件のメールが届いていて、俺は名前の表示を見た瞬間、ギクリと肩を跳ねさせる。 『今日早く終わりそうだけど、太一は?』 隆太から、今日は一緒に帰れるという内容のメール。その文字に内心胸を撫で下ろす。 そっか、今日は一緒に帰れるんだ。 俺はそのメールに俺ももう終わったと返信をして、ゆっくりと息を吐き出す。何度か深呼吸をして、呼吸を整えようとした。 隆太は片付けが終わった後で俺の教室に迎えに来てくれるという返信をくれた。 隆太が来る前に、顔、洗ってこようかな。 さっきの光景が、目に焼き付いて離れない。 モヤモヤとした感情が消えてくれない。スッキリしない。 あの光景を見た瞬間、俺の頭を過ぎったのは、なんで隆太の笑顔の先に居るのが俺じゃないんだって事だった。
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