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放課後、俺はまたカウンター内の定位置に座って本を読み始める。 残り数ページしか残っていなかった小説を読み終えた俺は、時計を見て思った。 ……意外と、時間経ってる。 余程集中していたのか、既にここに来て30分以上が経過していた。 俺は本の一番最後のページに入っている貸し出しカードを袋から引き出して、返却の判を押す。 本を元の位置に戻そうかと席を立とうとした丁度その時、図書室のドアは開かれた。 ドアの向こう側には、昼休みに約束をした佐々木の姿。 佐々木はスタスタとカウンターの前まで歩いて来ると、何故か視線を合わせないままカウンターに二枚の貸し出しカードを置いた。 「……持って来たぞ」 よかった。中々来ないからカードの件を無視して帰ったんじゃないかと考えてた所だった。 意外と律儀だな、なんて思いつつ俺は佐々木にバレないように何度か頷いた。 「遅かったな」 「うちの担任はホームルームが長げえんだよ」 ぶっきらぼうにそれだけを言った佐々木は、判の押されたカードを本の中に挟んでその本を近くの机の上に置いた。 そしてふらりと姿を消したかと思えば、一冊の本を手に先程本を置いた机の前に立ち、椅子に座る。 佐々木が本を読むイメージが中々掴めず、俺は横目にその姿を伺う。 何とも奇妙な光景だ。 ここから見えるのは、佐々木の後ろ姿。 猫背だな……なんて思いながら、俺も読んでいた本を返す為に席を立った。
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