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「告白は、するつもりなのか」 「正直、言うのは怖え。けど……いつかは、気持ちを伝えたいって思ってる」 隆太の言葉に反応した俺は、咄嗟に隆太の方に視線を向けた。 そして視界に映った隆太の表情に、目を見開く。 好きな相手の事を思い出しているんだろうか。隆太の表情はとても柔らかくて、細められた目はどうしようもなく愛おしいと言わんばかりだ。 その表情を見た俺は、ズキンとした胸の痛みを覚えた。 その音は一度だけじゃない、何度も何度も耳の側で聞こえてきて、俺の心臓を締め付ける。 息苦しくて胸元を押さえてみても、その痛みはどんどん増す一方で。自然と唇を噛み締めては、耐えられなくて隆太から視線を外した。 そんな素振り、全然見せなかったのに。告白するつもりだったなんて。 応援するべきなんだろうけど、なんだろう。素直に頑張れって言えないのは。 「……隆太」 「なに…………んっ」 俺は隆太の前まで行くと、座ってる隆太に覆い被さるように影を作り、唇を重ね合わせた。 自分の中では、今までで一番荒っぽいキス。 呼吸するもの忘れて、ずっと押し当てたまま中々離せずにいる。 外す余裕すら無かった眼鏡が邪魔だ。 お互いの身体の間にある隙間が、邪魔で邪魔で仕方なかった。 こんな隙間無くなればいいのにと思った。
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