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「……隆太、また俺が寝る布団で寝てるし」 土曜日、俺はさも当たり前のように隆太の家に泊まりに来た。文化祭準備でゆっくり話す時間もないから、余計泊まる頻度は上がった。 俺が風呂から上がって隆太の部屋に足を踏み入れると、先に風呂から上がった隆太が何故か俺の為に敷かれた布団で眠っていた。 隣に自分のベッドがあるにも関わらず、どうして布団で寝てるんだろう。 隆太はベッドより布団の方が好きなんじゃないかって思う程、よく布団で寝てる。 寝巻きにしている黒のスウェットに身を包み、お腹辺りまで掛け布団を被って寝ている所を見れば、正に布団で寝る気満々といった感じだ。 しかもこんなに気持ち良さそうにしてたら、起こしにくいじゃん。 「隆太、寝るならベッド行け」 「…………」 「りゅーた」 規則正しい寝息を立てる隆太は、声をかけただけでは起きる気配がない。 とりあえず頬をつねってみたけれど、微動だにしない隆太に仕方ないなと溜息を吐く。 俺は一体、どこで寝ろって言うんだよ。
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