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「りゅ、た…………起きっ……!?」
「……ん、ぅ……」
薄っすらと目を開け、身動ぎをする隆太に少しずつ血の気が引いていく。
一度ゴクリと喉を鳴らして現状を把握すると共に、背中に嫌な汗が流れた。
普段キスをしているからって、この 状況はかなりおかしい筈だ。
寝てる相手に、何度もキスするなんて。
流石にあれ程キスをすれば、起こしてしまうのも無理はない。
自分で早く起きてくれと願っておきながら、いざ隆太が目を覚ましたら、この状況をどう説明すればいいのかわからず挙動不審になる。
「隆太、あの、これは……」
目を泳がせ、しどろもどろになりながら言い訳を探した。
けど、ああ、無理だ。言葉が出てこない。
脳みそは、さっきのキスで酸欠状態。この状況を打開する上手い言い訳なんて、思いつく筈もない。
結局何も言えずに口籠った俺は、未だに何も言葉を発さない隆太の反応をただ待つしかなかった。
先程とは、別の意味で心臓がバクバクしてる。底知れぬ恐怖が俺を襲い、身体の自由を奪う。
絶対、言われるに決まってる。何してんだって。
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