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「……ふっ……ぁ……」 なんだ、これ。 声が勝手に漏れる。身体を支える腕からどんどん力が抜けて、今にも隆太に倒れかかりそうだ。 「……ぁっ!」 隆太の指が俺の耳に触れた。指先で耳を弄ばれて、小さく声を上げる。 まるで、自分の声じゃないみたいだ。 脇腹とかくすぐられるのは平気だけど、俺、耳はどうしてもダメなんだ。 隆太は、俺が反応したその瞬間を見逃さなかった。薄く開いた唇の隙間から、突然隆太の唇が侵入してきて。 いきなり訪れた感触にビクッとなり離れようとするも、侵入してきた舌がそれを許さない。 そのまま歯茎を丁寧になぞられて、逃げる舌は直ぐに探り当てられた。 「あっ…………ふ、ぁっ!?」 絡め取られた舌。角度を変えて更に深く、深く口内を侵されていく。 ぞわぞわと奥底から這い上がってくるものが、骨も脳も何もかも溶かしていくみたいで。 なんか、凄く怖い。怖い。 今までのキスと比べものにならなく気持ちいいのが、堪らなく怖い。
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