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どうしよう。止めないといけない筈なのに、でも、何で、止められない。 俺の抵抗なんて、もう、無意味に等しかった。いや、むしろ途中から抵抗する事をやめていた。 あまりに、気持ち良くて。 絡まる舌に翻弄され続けるうちに、自分でも信じられないけど、俺はそれに応えるように自分からも舌を絡めていた。 訳わかんないまま、本能のままに隆太を求める。思考回路の大半は、既に機能を停止した。 「……ぁ、ふっ……」 蕩けそうな程の隆太のキスが、俺の中の何かをどんどん変えていく。 舌が絡み合う音だけが室内に響き、それが俺を鼓膜から侵していくみたいだった。 良かった。今日この家に隆太しか居なくて。なんて停止しそうな頭の片隅でそんな事を思った。 耐え切れなかった唾液が隆太の頬を伝い零れ落ちていく。それが何とも官能的で視覚的にも悪い。 やっと唇が解放されたかと思えば、とろんとした表情の隆太と目が合った。 きっと、俺も同じ顔をしていると思う。だらしなく唇を開けて、俺ははあ、はあと肩で呼吸を繰り返す。 俺の視界に映る隆太は、嬉しそうに微笑んで俺の頭に再び手を伸ばしてきた。 ぐしゃぐしゃと髪の毛を掻き回した後、そのままゆっくりと目を閉じる。 「…………っりゅ、うた?」 もしかして、寝た、のか。
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