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「んっ、んぅ…………りゅ、た……」 呼吸する暇なく唇を塞がれる。鼻で呼吸してるのに、なんか息が出来なくて、苦しくて。 口からも大量の酸素を取り込もうと、必死に大きく口を開けた。 「はっ、ふぅっ……ぅ……」 俺が口を閉じる度に、唇が触れ合う。 テーブルを挟んで反対側に居た筈の隆太は、いつの間にか俺の方まで回ってきてて。 二人の間にある距離は、もう、30cmも無いだろう。 「……ん、んっ……」 どうしよう。触れた時の感覚が、いつもと全然違う。 隆太にキスされた当初は、ただ唇と唇が触れ合っただけでは、何も感じないと思ってた。あの頃は、キスにそこまでの意味を見出してはいなかった。 なのに、何だ、これは。 この、焦がれるような感覚は。胸を鷲掴みにされるような感覚は。 蜂蜜と練乳を一緒に口にしたみたいに甘ったるくて、そのまま骨も脳も溶かされそう。 心臓の鼓動は驚く程に速い。今にも、止まってしまうんじゃないかってくらい。 これ以上の行為は、多分、俺の身体が持たないだろう。 俺、このキスだけで、既に死にそう。
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