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隆太の吐息が、首筋に直接当たる。耳の直ぐ側で隆太の呼吸を感じる。それだけで、目の奥がチカチカとなった。 触れた部分から、隆太の心臓の音が伝わってきた。俺と同様か、或いはそれ以上に早鐘を打つそれに、俺の心は大きく揺さぶられた。 友情じゃないと自覚した途端、隆太の行動全部に意識するようになって。 困ってる。測り兼ねてる。 距離感が掴めない。 どうしよう。これって、抱き締め返してもいいやつなのか。 初めてで、全然、わかんない。 キスをされるよりも、抱き締められる方が慣れてない。 これは、ダメだ。密着度が高過ぎる。 離して欲しい。けど、離さないで欲しい。正反対の心が、俺の中でひしめき合う。 あー、でも、やっぱ離して欲しいかも。 尋常じゃなく、熱い。隆太の熱が、布越しなのに、身体の内側に流れてくるみたいだ。 触れた部分から火傷しそう。抱き締められてるから、全身火傷。これって、治療法はあるのか。 隆太、お願い。限界だ。 俺からは言えないから、早く、離して。
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