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「よう」 「あれ、どうしたんだ」 月曜日、相変わらず第二図書室に来ていた俺は次にやって来た人物に驚かされた。 カウンターに居た俺に声をかけて来たのは、この間小説を借りていったばかりの佐々木。 「借りたやつ読み終わったから、新しいの借りに来た」 「はあ?まだ三日くらいしか経ってないだろ。凄いな、全部読んだのか」 小説読み慣れてない人は、結構時間かかったりするのに。もしかして佐々木って元々本を読むのが好きなんだろうか。 「面白かったから、結構スラスラ読めた。犯人が予想してた人と違ってマジでビビった」 「あー、俺もあの人なんて予想すらしてなかったからビックリしたよ。あの事件のーー」 好きな本の事を一緒に語れるのが嬉しくて、気が付いたら前のめりになる勢いで佐々木の話に食いついていた。 話していくと、佐々木とは同じ場面で同じ事を思ったりしてて、共感を覚えて自然と饒舌になってしまう。 あーだこーだと言いながら、それから結構な時間その小説について語っていたと思う。 佐々木の意見を聞けて凄く楽しかったし、佐々木って……なんか、話しやすい。 語り終えた後は、俺の胸は何とも言えない達成感に満ち溢れていた。  力んで握り締めていた手を開くと、じんわりと汗ばんでいて。 何となくはしゃいでる自分が恥ずかしくなって、ごめん喋り過ぎたなと佐々木に謝ると、佐々木は別に謝んなよと小さな笑顔を見せた。 笑顔……珍しい。なんて、内心感嘆の声を上げる。 また見れたのは、運が良かったのかなんなのか。 物珍しいといった顔を隠そうともしなかった俺に佐々木は気付いていないのか、別の理由を持って不思議そうな声を上げた。 「なあ」 「何?」 「鍵本ってさ、意外と喋るよな」 「普段はこんなに喋らないよ」 ただ、今日は興奮してたっていうか……仕方ないだろ、佐々木と話すのが楽しかったんだから。
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