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これが本当なら、俺は、もう言っていいんだろうか。この想いを伝えていいんだろうか。 そう思うのに、隆太に早く伝えたいのに、口が上手く動かない。俺はもう、自分が笑ってるのかそれとも泣いてるのかも全然理解出来てなくて。 足に全然力が入らなくて、立ってるのがやっと。呼吸すらもままならない。 「困らせた、か?」 悲しげに呟かれたその言葉に、首を何度も横に振った。 「首、横に振るなよ。勘違い、しそうになるからっ……」 切迫した声が耳に届く。 隆太を、不安にさせたくない。勘違いじゃないと言いたいのに、嗚咽で言葉にならない。 あんなに言いたかったのに、やっと言えるのに、声にならない。 俺は必死に、隆太へと手を伸ばす。隆太の制服をギュッと握り締めて、ただ震える事しか出来なかった。 「……太一が俺を特別だと思ってくれてるのは、理解してる。でもそれが、友情か恋愛感情かは、俺にはわかんねえ」 隆太の人差し指が、俺の涙を拭う。それが優しくて、余計に、涙が止まらなくなった。 「お前のそれ、本当に、恋愛感情か。もう一度よく考えてみろよ」 それは、俺が首を横に振った真意を、確かめるように紡がれた言葉だった。
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